日本蚕糸学雑誌
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こうじかび病蚕における中腸皮膜細胞の脱落と更新
柳田 健郎岩下 嘉光
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1982 年 51 巻 6 号 p. 533-536

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抄録

こうじかび病菌の蚕に対する病原性の発現機構を明らかにするため, 体内に侵入した菌糸による中腸組織の病変像を観察した。体腔内に菌糸が侵入すると, まず真皮細胞や脂肪組織の崩壊が起こったが, 菌糸が消化管へ達した部分では皮膜細胞が局部的に異常を呈し, 円筒細胞と盃状細胞が順次脱落し, その部位に新皮膜細胞が形成された。このような中腸皮膜細胞の脱落と更新が進行している時期には腸管内への菌糸の侵入は著しく抑制されていた。体腔内での菌糸の繁殖が著しくなると, 中腸皮膜細胞の脱落と更新は停止し, 管腔内への菌糸侵入は激しくなり, 消化管の崩壊が進行した。

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© 社団法人日本蚕糸学会
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