1982 年 51 巻 6 号 p. 528-532
こうじかび病菌の接種後蚕体におけるアミノ糖の生成パターンを検討した。蟻蚕に Aspergillus flavus-oryzae 系菌株を接種すると, 蚕体に生成されるアミノ糖は菌の発育に伴って増加し, やがて減少した。この傾向は病原力の強い菌株を接種した場合ほど顕著であった。菌の接種後に蚕体に生成されるアミノ糖を Dowex50-X8カラムクロマトグラフィーで分画すると, 脱イオン水と0.3NHClによって4画分が得られた。また, それらのアミノ糖を経時的に抽出し, カラムに吸着させ, 0.3NHClの溶出量で比較すると, MORGAN-ELSON 反応に陰性を示す画分IIIおよびIVは菌の発育に伴って著しく増加した。病原力の異なる菌株を接種しても蚕体に生成されるアミノ糖のカラム溶出パターンは類似した。