1984 年 53 巻 1 号 p. 1-6
発生初期卵の過冷却処理によって得られた4倍体雌成虫の産下卵における側面中央部の卵紋, ならびに4倍体雄成虫の複眼小眼面について, それぞれの大きさを2倍体のそれと比較した。過冷却処理した卵から孵化した個体のなかには. 成虫となって産下する卵の側面中央部の卵紋が. 無処理の2倍体のものに比べて著しく大きいもめがあった。この成虫は交配による卵色分離と, その卵に形成された胚子の体細胞の染色体数から4倍体であることが判った。また同様にして, 雄成虫において複眼小眼面が2倍体より著しく大きいものは, 4倍体であることを確めた。上記のように. 卵紋あるいは複眼小眼面の大きさにみられる特異性は, 4倍体を従来の方法よりも簡単かつ正確に判定するために利用することができる。