日本蚕糸学雑誌
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稚蚕期における幼若ホルモン剤投与による家蚕の眠性変化
黄色 俊一田村 博
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1985 年 54 巻 2 号 p. 138-142

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抄録

遺伝学的には4眠蚕とみなされる家蚕の, 1~3齢幼虫に幼若ホルモン剤“マンタ”を噴霧投与し, 早熟3眠蚕および過剰脱皮5眠蚕を誘発した。“マンタ”の有効成分は methoprene であるが, 早熟3眠蚕の誘発に有効な methoprene 濃度は, 2~20ppmであった。50~80ppmの高濃度の methoprene 投与は3眠蚕の分離を抑制する結果となり, これらの実験結果から, 多量の methoprene を投与すると過剰脱皮5眠蚕が誘発される可能性が示唆された。そこで, 3齢期の幼虫に対して高濃度 methoprene 投与の試験を行い, 100~200ppmの methoprene 投与によって, それぞれ7.7~15.2%の過剰脱皮5眠蚕が誘発された。上述の結果は, 昆虫の発育における内分泌制御のフィードバック機構の解明に, 有効なデータとなりうるものと考えられる。

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