日本蚕糸学雑誌
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Becillus thuringiensis kurstaki HD-1株の産生する菱形毒素の活性成分の酵素抗体法による定量
東條 昭彦
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1985 年 54 巻 4 号 p. 304-309

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抄録

Bacillus thuringgiensis kurstaki HD-1株の産生する菱形毒素の活性フラグメント (P-59) のカイコ消化液中での生成と分解過程を酵素抗体法と生物検定法で調べた. 酵素抗体法によるP-59抗原の測定限界は0.4ng/mlだった。菱形毒素をカイコ消化液 (プロテアーゼ活性: 7.8U/ml) に投与すると遊離するP-59抗原量は30秒以内に最大値に達し, その後1時間維持された。しかし2~3時処理すると減少し, 3時間後には最大値の約60%になった。カイコに対する毒性は消化液で1時間処理しても変化しなかったが, 4時間処理で半分に低下した。精製した消化液プロテアーゼ (<0.1U/ml)で処理すると4時間後でも, P-59抗原量および毒性の低下はみられなかった。以上の結果から, 適当な濃度のプロテアーゼのもとで遊離したP-59抗原を酵素抗体法で定量することによって, 種々の菱形毒素標品の殺虫活性を推定することが可能であると考えられた。

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