1986 年 55 巻 6 号 p. 494-497
クワにおける葉柄の上偏生長を調べるため, 春切した高根刈仕立のクワ (しんいちのせ) から伸長した新梢上の最大光葉から4枚目の葉について, 5月31日に葉身あるいは葉柄にエスレル水溶液を塗布した。葉身に塗布した場合にはエスレルの濃度1ppmから, また葉柄に塗布した場合には10ppmから葉柄が湾曲したが, 葉身塗布では1, 10ppm, また葉柄塗布では10, 100ppmの場合には湾曲が回復した。葉柄の上側, 下側, 横側にそれぞれ500ppmエスレルを塗布すると, 上側では著しく湾曲したが, 下側ではわずかであった。また, 横側に塗布した場合にも葉柄は下方へ湾曲した。葉柄を三分割して上部, 中部, 下部にそれぞれ500ppmエスレルを塗布すると下部塗布の場合の湾曲が他に比較してやや優った。一方, 上位葉 (最大光葉), 中位葉, 下位葉について500ppmエスレルを葉柄あるいは葉身に塗布すると, いずれの場合も葉柄の湾曲は中位葉>上位葉>下位葉の順であった。