日本蚕糸学雑誌
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数種鱗翅目昆虫のフィリッピ腺の形態
張 義成浜野 国勝向山 文雄
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1987 年 56 巻 6 号 p. 449-456

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抄録

9種鱗翅目昆虫の終齢幼虫の第1~2日目のフィリッピ腺 (FG) を光顕および電顕で観察した。FGは普通頭部に存在するが, アワヨトウ, アケビコノハ, およびアメリカシロヒトリの3種では前胸部に存在している。FGの痕跡も見られないエリサン, FGが前部糸腺に付着した突起を形成しているエビガラスズメを除く他の昆虫においては, FGは導管と腺体から構成され, 腺体は1~数本の胞状体からなっているが, 左右の腺体が癒合して1本となったものも見られた。光顕観察によるとエビガラスズメの腺体には液胞は全く見られなかったが, 他の昆虫では腺細胞に多数の液胞状の空隙が見られた。サクサンおよびアケビコノハでは導管は前部糸腺と連続しており, 他の昆虫においても同様と推定される。電顕観察によると, FGには不定形のフェルト状基底膜が各昆虫に見られ, 外膜に接する細胞膜の陥入状態, 腺細胞小器官および導管の内膜の超微形態に差異が見られた。

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