1987 年 56 巻 6 号 p. 457-462
絹糸の酸性染料による混合染色の速度論的検討を行った。pH3.0, 75および85℃における酸性染料の単独染色および混合染色の時間-吸着量等温線を求めた。これらの実験結果は Ceggara・Puente の速度式によって再現できることがわかった。平衡吸着量 (Mi), 染色の速度定数 (k) を Ceggara らの式によって等温線から求めた。また, 拡散係数 (D) は, 拡散に関する渋沢の近似式によって求めた。単独染色の実験結果は Ceggara らの式によってよく再現されることが分かった。混合染色の場合, 親和力の小さい染料の等温線上に吸着極大が現れる場合があることが分かった。単独染色の場合, 染料の親和力が大きくなるにしたがって, Miおよびk値は増大しDは小さくなることが分かった。混合染色の場合の拡散係数は, 絹糸上の座席に対して, 両染料が競的争に吸着するために大きくなる。