日本蚕糸学雑誌
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クワの芽の休眠と古条の春発芽パターンとの関連
鈴木 健夫藤林 弘恭河野 清
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1987 年 56 巻 6 号 p. 505-510

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抄録

前年春切無収穫の根刈仕立のクワ (品種,‘しんいちのせ’) 古条の春発芽パターンと芽の休眠との関連を調べるため, 8月25日から翌年3月16日まで経時的に枝を5分割し, 部位毎に各部位の上部から約15cmの挿穂を調製, 水挿して部位別の発芽率と発芽所用日数を調査した。(1) 枝の最上位からの挿穂の場合, 11月1日と12月1日の発芽はなく, その後発芽率を回復するとともに発芽所用日数は著しく短縮された。一方, 枝の基部近くからの挿穂の発芽率は全期間を通して100%であり, 発芽所用日数の変動は小幅であった。また, 枝の中位からの挿穂の発芽率と発芽所用日数は前2者の中間とみられる変動パターンを示した。(2) 同一枝上の上位と下位の芽の発芽の早晩に関する勾配の休眠前後の逆転はなく, また春発芽直前においても勾配に重要な差を生じなかった。このため, 根刈仕立のクワの同一古条内の上位から下位までの芽がほぼ斉一的に春発芽, 伸長し始めると考えられた。

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