日本蚕糸学雑誌
Online ISSN : 1884-796X
Print ISSN : 0037-2455
ISSN-L : 0037-2455
ソヨゴ生葉抽出液による絹の染色
萩原 応至滝沢 克子
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 56 巻 6 号 p. 500-504

詳細
抄録

ソヨゴ (冬青) 生葉抽出液の性質, および抽出液にて絹羽二重を染色したときの媒染剤の種類と色, 染色堅ろう度等について調べた。抽出液の色は時間経過にともない緑味淡黄色から澄赤色へ変化した。この変色には光と空気が可不欠で特に光の寄与が大きく, 3日間日当りのよい室内に放置された2回目の抽出液が染色に最適であった。種々の媒染剤を用いて染色した結果, 多様な色が得られたが, ソヨゴ染色に特有な橙赤色を得るにはアルミ明バンが最適であった。各種媒染剤を用いて染色された絹布の日光堅ろう度は未媒染のものと差が認められず4~6級であった。洗たく堅ろう度は金属およびアルカリ媒染処理した場合3~4級で, 未媒染および酸性媒染に比し2~3級堅ろう度を向上させた。酸性媒染剤で染色された絹布はアルカリ性洗剤で洗にくすると黄色から茶色に変色し, アルカリ媒染したものと同色系統になった。しかし, 中性洗剤で洗たくした場合には変色が認められず, 被染物の色はpHにより大きな影響を受けることが判った。

著者関連情報
© 社団法人日本蚕糸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top