1988 年 57 巻 6 号 p. 495-499
カイコ核多角体病ウイルスに対する抗血清を作製し, ウエスタンブロッティング法によるウイルス抗原の検出を試みた。多角体を溶解して精製したウイルス粒子およびウイルス病蚕の体液を分画遠心して得た病蚕体液画分を, それぞれ抗原として家兎を免疫し, 抗血清を作製した。抗血清を健全な蚕体成分で吸収した後に, IgGを精製して抗原検出に用いたところ, IgGはそれぞれの免疫抗原と強く反応し, また, 400倍から800倍に希釈することによって, ウイルスの検出感度を損わずに健康蚕の磨砕上清との非特異反応を完全に抑えることができた。ウイルス接種蚕を経時的に磨砕して本手法を行ったところ, 2種類のIgGを同時に使用した場合では, 接種2日後からウイルス抗原が検出された。