日本蚕糸学雑誌
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チオシアン酸リチウムによる絹フィブロインの溶解と分解
生体高分子素材の調整と構造解析に関する研究 第2報
後藤 洋子塚田 益裕箕浦 憲彦
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1990 年 59 巻 6 号 p. 402-409

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抄録

チオシアン酸リチウム溶液による絹糸フィブロイン繊維の溶解性を調べるとともに, 再生絹フィブロインの電気泳動, 赤外吸収スペクトル測定ならびに熱分析を行った。チオシアン酸リチウム溶液による絹糸フィブロインの溶解性は臭化リチウム溶液の場合よりも著しく良好であかった。再生絹フィブロインのアミノ酸組成は溶解時の温度と時間が変化しても差異が認められなった。再生絹フィブロインの電気泳動パターンの観察によると, 溶解条件が異なっても試料の中心的な分子量は2万ないしは3万~20万以上であり, 異なる溶解条件下においても電気泳動パ形態を取ターンには差異が現れなかった。赤外吸収スペクトル測定では, 試料はランダムコイル型の分子り分子形態的にも試料間の差異は認められなかった。示差走査熱量測定結果から, 苛酷な条件で溶解調製した試料の熱分解温度は低温測へと移行する傾向が確かめられた。

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