日本蚕糸学雑誌
Online ISSN : 1884-796X
Print ISSN : 0037-2455
ISSN-L : 0037-2455
揚返薬剤と生糸水分の挙動
重松 正矩
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 59 巻 6 号 p. 410-415

詳細
抄録

揚返用薬剤として, 保湿剤, アニオンノニオン活性剤, 市販の薬剤など25種類を使用して, 生糸の吸湿性, 保湿性および水分活性に対する挙動を究明し, 次の結果を得た。
(1) 揚返しされた過乾状態の生糸に水分を補うには, かせ糸の水分調整室の関係湿度がおよそ90%ないと, 薬剤は吸湿作用を十分に発現できない。(2) ポリオキシエチレン (POE) オレイルモノエステル, 混合薬剤 (POEノニールフェニールエーテル60%, グリセリン40%, ニッサンパーソフトEKなどは優れた吸湿性を示した。(3) カーボワックス, ニッサンパーソフトEK, POEノニールフェニールエーテル, POEオレイルモノエステルなどは優れた保水性を示した。(4) プロピレングリコール以外の水分活性は0.45~0.60の価を示し, 生糸の貯蔵中に微生物の発生や機械的性質の低下する危険性がないことがわかった。

著者関連情報
© 社団法人日本蚕糸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top