日本蚕糸学雑誌
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家蚕の幼虫発育にともなう貯蔵タンパク質量の変動
永田 昌男小林 正彦
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1990 年 59 巻 6 号 p. 461-468

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抄録

家蚕の貯蔵タンパク質SP-1 (幼虫型雌特異タンパク質) とSP-2 (アリルフォリン) は2齢から4齢の各摂食期に増加し, 眠期に減少する周期的な変化を示し, 齢とともに増加した。4眠期においてみると, 増加は盛食期に, 減少は眠後期に著しかった。一方, 脂肪体中の濃度には眠期の上昇が観察された。血液中の貯蔵タンパク質濃度は絶食させると増加が止ったが, 絶食期間中に大きな変イヒはなく, 再摂食とともに増加した。絶食-再摂食させた幼虫は対照より遅れて脱皮するが, その際に貯蔵タンパク質は減少した。20-OH-ecdyson6によって早熟脱皮を導くと, 低い貯蔵タンパク質濃度のままで脱皮時の減少々示した。以上のことから, 血液貯蔵タンパク質濃度の摂食期の増加は摂食活動と密接に関係し, 一方脱皮時の減少は眠期中の絶食状態によるものではなく, 発育過程と結びついた事象と考察した。

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