日本蚕糸学雑誌
Online ISSN : 1884-796X
Print ISSN : 0037-2455
ISSN-L : 0037-2455
家蚕幼虫の血液貯蔵タンパク質濃度に及ぼす飼料の影響
永田 昌男小林 淳
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 59 巻 6 号 p. 469-474

詳細
抄録

人工飼料中のタンパク質と糖の含量が家蚕血液中の貯蔵タンパク質SP-1 (幼虫型雌特異タンパク質) とSP-2 (アリルフォリン) 濃度に与える影響を4齢期において調査した。
4齢起蚕よりタンパク質, 糖含量の異なる飼料を与え, 2日後に調べると, 高タンパク質飼料の血液では高い貯蔵タンパク質濃度を示し, 低タンパク質飼料では低い濃度となった。一方, 糖含量の影響はみられなかった。5齢起蚕時においては, 飼料タンパク質量の影響はより強く現れ, さらに糖量の増減も貯蔵タンパク質濃度の高低をもたらした。1齢期より異なる飼料で飼育し, 4齢2日で調べると, 飼料タンパク質含量の影響は強く, とくに低タンパク質飼料で飼育した場合には, 著しく低い貯蔵蛋白質濃度となった。以上のことから, 血液貯蔵タンパク質濃度には栄養条件が強く影響することが明らかになった。

著者関連情報
© 社団法人日本蚕糸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top