日本蚕糸学雑誌
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タイラギ (斧足類) 足糸の化学構造と物理的特性
塚田 益裕後藤 洋子石川 博
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1991 年 60 巻 1 号 p. 1-5

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抄録

タイラギ (斧足類) 足糸の理化学特性と化学構造とを解明するため, 屈折率測定, 示差走査熱量測定, 熱機械分析, アミノ酸分析ならびに強伸度測定を行った。繊維状足糸の複屈折の値はほとんど0であり, 屈折率は1.560であった。しかし, クロスニコルの下での偏光顕微鏡写真によると, 試料に淡い干渉色が現れており, タイラギ足糸の分子が極僅か配向していることが確かめられた。タイラギ足糸の単糸の強度と伸度の平均値は, 9g, 5%であった。また, DSC測定の結果, 323℃で足糸が熱分解することが明らかとなった。足糸の主要なアミノ酸組成はPro, Gly, Ser, Lys, Val, Glu, Alaであり, これに加えて微少量の Hist, Cys, Met, Ile が含まれることが確認された。

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