日本蚕糸学雑誌
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N粒繭の不時落緒数による解じょ率の推定
解じょ率の推定の第I報
寿 国梁
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1991 年 60 巻 1 号 p. 6-12

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抄録

本研究において, 著者は解じょ率を繭荷口の固有の特性パラメータと考える。この考えに基づいて, 著者は解じょ率のいくつかの推定方法を考案し, 数理統計学的なアプローチでそれぞれの推定量の性質を考察する。これを通じて, 現在の繭検定に使われているサンプルサイズの妥当性を検討し, よりよい解じょ率の推定方法を探ってみる。
本論文は, 繭荷口から繭を等確率で抽出することを仮定し, 抽出した繭サンプルの不時落緒数による解じょ率推定量を考案し, その統計的性質を検討した。その結果, 次のことが分かった。1) 現在の繭検定に使われている解じょ率推定量は解じょ率の一致推定量であるが, 正のかたよりを有する。解じょ率が約67%の時, かたよりは最大になるが, 100粒以上繭を取れば, このかたよりを無視することができる。2) 解じょ率が約75%の時, 推定量の標準偏差は最大になるが, 400粒繭の不時落緒数を用いた解じょ率の推定量の標準偏差は通常3%以下である。3) コンピュータ・シミュレーション実験で結論の妥当性を確認した。

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