1995 年 64 巻 3 号 p. 209-213
セリシンの接着性を研究するための基礎的知見を得る目的で, 絹糸腺セリシンと繭層セリシンを解析した。電気泳動, アミノ酸組成, 粘度, 熱分解温度などの分析から, 絹糸腺外側セリシンは内側セリシンより分子量の大きい分画が多いことが明らかとなった。繭層の外側セリシンと内側セリシンにも性質の差異が認められたが, その差は分子量の差というよりもカイコの吐糸によるセリシン層のずり応力の印加の程度の相違が配向, 結晶性の差として表れ, これがセリシンの層状構造を形成する要因であると考えられた。