1995 年 64 巻 3 号 p. 230-236
5-bromo-2′-deoxyuridine 処理により分離された温度感受性変異株 (No. 20株, No. 128株およびNo. 217株) の増殖様式を in vitro および in vivo で検討した。No. 20株, No. 128株を培養細胞に接種後33℃で培養すると, ウイルスの増殖を示す組織学的兆候は観察されなかった。No. 217株の場合は, 33℃ではウイルスの形態形成や多角体形成が抑制され, ウイルス粒子の膜形成も異常や多角体への包埋の減少が電子顕微鏡観察で認められた。No. 128株とNo. 20株の33℃での混合感染で, 多角体形成細胞率が向上し, 明瞭な相補性が認められた。No. 128株とNo. 20株の場合は, カイコ幼虫に接種後25℃で飼育する期間が短い程病蚕の発生が抑えられた。この場合33℃の飼育のみでは幼虫の発病はみられなかったが, 25℃に移すと発病した。No. 217株接種蚕は, 33℃飼育では25℃飼育に比べて発病率が低下し, 発病時期も遅れる傾向を示した。