1998 年 67 巻 3 号 p. 237-242
本実験において, 供試された Bacillus thuringiensis 菌株は, 北海道大学農学部応用分子昆虫学講座保存の基準菌株, 北海道の土壌ならびに死亡昆虫から分離された菌株である。ハスモンヨトウに強い殺虫活性を有するB. thuringiensis 菌株を選抜するため, それらの菌株の, 3齢ハスモンヨトウ幼虫での殺虫活性試験を行った。
ハスモンヨトウに殺虫活性を有するcry1遺伝子の同定をPCR法にて行った。Serovar entomocidus 基準菌株ならびに serovar kenyae 基準菌株から, それぞれクローニングされたcry1Cとcry1E遺伝子が, ハスモンヨトウ幼虫に殺虫活性を有していた。一方, serovar tolworthi 基準菌株ならびに serovar darmstadiensis 基準菌株からクローニングされたcry1E遺伝子は, ハスモンヨトウ殺虫活性を有していなかった。
Serovar galleriae Acp10-8株ならびにwuhanensis 基準菌株は, 強いハスモンヨトウに対する殺虫活性を有しているのにも関わらず, cry1Cならびにcry1E遺伝子を保有していなかった。これらの2株については, 新規のcry遺伝子を保有していると考えられる。