高分子論文集
Online ISSN : 1881-5685
Print ISSN : 0386-2186
ISSN-L : 0386-2186
一般論文
主鎖にケイ素を導入したフルオレン系発光ポリマーの合成と電気光物性
高木 幸治垣内 宏樹鈴木 将人
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 63 巻 10 号 p. 663-669

詳細
抄録

オリゴフルオレンとジメチルシランの両ユニットを交互に含むポリマー (3F-DMSi, 5F-DMSi, 9F-DMSi) を鈴木カップリングにより合成した. GPC測定から, ポリマーの数平均分子量は約14000から27000 (ポリスチレン換算) であり, NMRスペクトルから, ケイ素が仕込み通りの割合で導入できていることが確認できた. ポリ (9,9-ジヘキシル-2,7-フルオレン) (PF) と上記ポリマーについて, クロロホルム溶液中で光学スペクトルを測定した結果, ケイ素でπ共役を切断したことにより, いずれのポリマーもPFと比較して極大吸収, 発光波長共にブルーシフトした. 3F-DMSiの蛍光スペクトルでは, 419nmにσ**相互作用に起因した大きなショルダーピークが観測され, 高い蛍光量子収率 (0.92) が得られた. スピンコート薄膜の蛍光スペクトルを測定した結果, 3F-DMSiでは, 5F-DMSiや9F-DMSiと異なり, 折れ曲がった主鎖により主鎖間でのπスタッキングが効果的に抑制され, アニーリング処理の有無にかかわらず, 安定したスペクトルを与えた. さらに, ポリマーの電気化学特性をCV測定により評価した結果, σ**相互作用のため, 3F-DMSiが最も低いLUMOのエネルギー準位をもつことがわかった.

著者関連情報
© 2006 公益社団法人 高分子学会
前の記事 次の記事
feedback
Top