2006 年 63 巻 10 号 p. 696-703
電子輸送性を示すトリス (8-ヒドロキシキノリナト) アルミニウム (Alq3) 部位を側鎖にもつホモポリメタクリラートを合成し, それを用いた有機エレクトロルミネッセンス (EL) 素子の作製・評価を行った. 高分子錯体の配位子交換による架橋・不溶化の抑制を意図して, 7位に2級アルキル基を有する8-ヒドロキシキノリン (8-HQ) 類を設計・合成するとともに, それらをメタクリラートモノマーへと誘導してラジカル重合により高分子配位子を得た. これらの配位子を組み合せていくつかの側鎖Alq3型高分子錯体を合成し, 一部の錯体が可溶性を示すことを見いだした. 可溶性高分子錯体をポリビニルカルバゾールと組み合せて二層型の高分子EL素子を作製し評価を行ったところ, より小さい7位アルキル基を有する8-HQ誘導体を配位子とする高分子錯体を用いた場合に, より高い発光効率を与えることがわかった.