抄録
生分解性ポリエステルエマルション接着剤の製法および接着性能が明らかにされ, 物理化学的観点からそれらが説明された. ポリブチレンサクシネート-co-アジペート (PBSA) およびポリカプロラクトン (PCL) からは, 乳化剤にポリビニルアルコール (PVA), 装置に押出機を用いて溶融乳化することにより, 粒子径1~2μm, 固形分濃度50%以上, 粘度1000mPa・s/23℃以上である実用可能なコロイド物性をもったエマルションが作製された. 両エマルションは汎用接着剤の一つであるポリ酢酸ビニル (PVAc) エマルション接着剤に匹敵する接着剤適性をもつことが表面化学的に明らかにされた. 水分散性脂肪族ポリイソシアネートの添加が接着強化をもたらすこと, またそれは被着体と接着剤層との間に形成される比較的数少ない化学結合によることが明らかにされた. 加えて脂肪族ポリエステルエマルションは概して加水分解を受けやすく, そのために室温保存でも接着性能低下が懸念されることから, 接着剤としての寿命予測法が提案された. 本研究でその全体像が理解されることにより生分解性ポリエステルエマルションは環境適応型接着剤として多様な用途分野に適切に使用発展すると期待される.