高分子論文集
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一般論文
ピリジルチオフェンの電解重合による新しい導電性配位高分子で被覆された炭素粒子の調製と錯体系酸素還元触媒への応用
小柳津 研一山口 有朋井合 雄一田中 健湯浅 真
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2006 年 63 巻 3 号 p. 189-195

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抄録

電解重合性を有する新しい配位性モノマーとして, 2-(3-チエニル) ピリジンを用いた流動層電解重合により, 配位子としてピリジル基を有する導電性高分子膜で被覆された炭素粒子を調製した. これを有機溶媒中に分散させ, 酢酸コバルトを用いた錯形成を行うことにより, 炭素粒子の表面にコバルト錯体を分散度高く修飾できることを見出した. 得られた修飾炭素粒子をNafion溶液に分散させ, 基板電極上にキャストすることにより擬似MEAを作製し, 溶存酸素の電解還元反応について検討した. 触媒担体として比表面積の大きいカーボンブラックを択び, 補助的な配位子としてピロールを用いた場合に, 貴な電位 (Ep=0.37V vs. SCE) および比較的高い反応選択度 (反応電子数n =3.1) で酸素の四電子還元が進行することが明らかになった. この活性は, コバルトポリピロール錯体修飾炭素粒子よりも高く, 塩基性度の高いピリジル基が活性点であるコバルトイオンの集積に寄与していることが示された. さらに, 得られた触媒を不活性ガス雰囲気下で熱処理することにより活性が著しく向上することが分かり, 燃料電池の新しいカソード触媒としての可能性が明らかになった.

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© 2006 公益社団法人 高分子学会
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