高分子論文集
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一般論文
ホスホニウム基を有するポリスチレン粒子の作製と物性評価
清水 秀信川島 由香和田 理征岡部 勝
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2007 年 64 巻 1 号 p. 35-40

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抄録

スチレン(St)とトリブチル-4-ビニルベンジルホスホニウムクロライド(VBPC)をソープフリー乳化共重合することにより,ホスホニウム基を有するポリスチレン粒子の作製を試みた.本報では,水溶性モノマーである VBPC の仕込み量が,重合速度や粒子径に及ぼす影響について詳細な検討を行った.St の転化率を重量法により求め,重合速度を算出したところ,St に対して VBPC を 0.1 wt%添加しただけで,重合速度は 5.7 倍になった.しかし,これ以上 VBPC の仕込み量を増やしても,重合速度の促進はほとんど認められなかった.次に,得られた粒子の大きさを透過型電子顕微鏡により評価したところ,VBPC の仕込み量が増加するに伴い,粒子径は減少するという結果が得られた.これは,水溶性モノマーである VBPC が粒子核の数を増加させたためであると考えられる.また,重合期間中の粒子の数は,ほぼ一定であった.粒子に導入されたホスホニウム基の量は,VBPC の仕込み量の増加に伴い直線的に増大する傾向が認められた.

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© 2007 公益社団法人 高分子学会
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