2007 年 64 巻 1 号 p. 41-44
粒径 198 nm の荷電高分子ラテックス/水分散液(濃度 10 vol%)を用い,せん断配向法により作製した,大面積の薄膜型コロイド単結晶を,結晶構造を保持したまま,アクリルアミド系高分子ゲルにより固定した.本実験に用いたゲルに対してエタノールは貧溶媒であり,エタノール濃度(CE)に応じてゲルマトリックスは膨潤・収縮する.得られたゲル固定結晶を,種々の CE 条件に保ち,ゲルサイズ変化を通して,結晶の Bragg 回折波長を制御した.CE が 100%では,溶媒は試料中にほとんど存在しないことが示された.本手法により,近赤外域から可視光領域(およそ 950~550 nm)にわたる,可逆的な回折波長チューニングが可能であった.ゲルサイズ変化に伴い,結晶中の粒子,ゲル網目濃度も変化するため,ゲル固定結晶の平均屈折率は変化する.この効果を考慮して,回折波長から求めた格子面間隔はゲルサイズに比例した.すなわち,本薄膜ゲルの変形が等方的であることが確認された.