高分子論文集
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一般論文
シリコーンオイル中での高屈折率ポリ(2-ビニルナフタレン)微粒子の合成と電子ペーパーへの応用
川口 正剛伊奈 孝昭百瀬 俊瑛菊地 武紀小長谷 龍菊地 守也長井 勝利
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2007 年 64 巻 1 号 p. 62-73

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抄録

不揮発性・非極性溶媒であるシリコーンオイル中,屈折率の高い結晶性ビニルモノマーである 2-ビニルナフタレン(2-VNp)とポリジメチルシロキサンマクロモノマー(PDMS-MA)との分散共重合を行うことによって,0.4~1.7 μm サイズの比較的単分散なポリ 2-ビニルナフタレン(PVNp)微粒子(n=1.68)を合成した.さまざまな重合条件下,たとえば,開始剤の種類や濃度,マクロモノマーおよびモノマー濃度,重合温度における分散共重合について詳細に検討を行い,微粒子径や重合率に及ぼす効果を検討した.その結果,開始剤として過酸化ラウロイルを用い,重合温度 65℃,仕込みモノマー濃度が高い場合,高重合率(~90%)で単分散な微粒子が得られることが見いだされた.また,微粒子直径(d)は仕込みマクロモノマー濃度[PDMS-MA]の増加とともに減少し,d ∝[PDMS-MA]-0.52 の依存性が得られた.これは以前に報告したマクロモノマーを用いた分散共重合の理論式と良く対応する結果であり,PVNp 微粒子径がマクロモノマー濃度によって制御可能であることを示した.PVNp 微粒子分散液の反射率は同濃度および同粒子径サイズのポリスチレン(PST)微粒子のそれに比べおよそ 5%程度高く,高い反射率あるいは隠ぺい性を示した.PVNp 微粒子と黒色微粒子を含んだ分散液の液セル中での電場応答性は高い白黒反転コントラストを示し,合成した微粒子は非泳動の白色微粒子として高いポテンシャルを有していることが明らかとなった.

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© 2007 公益社団法人 高分子学会
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