高分子論文集
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総説
フルオロアルキルアクリレート系高分子薄膜の表面特性と表面分子鎖凝集構造
本田 幸司森田 正道高原 淳
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2007 年 64 巻 4 号 p. 181-190

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抄録

種々の鎖長の Rf 基を有するフルオロアルキルアクリレートポリマー[以下 PFA-Cy(y は Rf 基炭素数)と略]を合成し,表面分子鎖凝集構造と表面物性の鎖長依存性を静的,動的接触角,X 線光電子分光(XPS),示差走査熱量分析,視射角入射 X 線回折(GIXD)測定などにより評価し,その撥水性発現機構を明らかにした.動的接触角測定において,後退接触角は炭素数 6 までは非常に低く,炭素数 8 以上で急激に増加した.GIXD 測定から炭素数 8 以上で Rf 基が秩序構造を形成すること,後退接触角は表面の環境応答性の指針となることから,以下の PFA-Cy 撥水性発現機構が提案される.すなわち,Rf 基の炭素数 8 以上では側鎖の結晶化により分子鎖の熱運動性が低下し,水の接触に伴う表面構造の再編成による接触角の低下が起こりにくいと考えられる.乾燥状態および水和状態の PFA-Cy 薄膜の XPS 測定と,水中での接触角測定の結果より,側鎖の配向の再編成により接触角が低下するという機構が支持された.また,表面微細形状制御により,超撥水撥油表面の作製を検討した.

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© 2007 公益社団法人 高分子学会
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