高分子論文集
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総合論文
フェノールアラルキル型エポキシ樹脂組成物の自己消火性と電子部品実装材料への適用性
位地 正年木内 幸浩
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2007 年 64 巻 4 号 p. 191-203

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抄録

フェノールアラルキル型のエポキシ樹脂組成物は,ハロゲン化合物などの従来の環境負荷の大きい難燃剤を使用しなくても自ら高度な難燃性,すなわち自己消火性を示し,さらに,吸水性,熱分解性などにも優れるため,主要な電子部品用の実装材料に適用できることを明らかにした.フェノールアラルキル構造のエポキシ樹脂と同構造の硬化剤を含むエポキシ樹脂組成物は,低い架橋密度と高い耐熱分解性を持つ架橋構造によって,着火の際,樹脂表面に安定な発泡層を形成し,この断熱効果によって自己消火性を示すことを見いだした.さらに,シリカ粉やベンゾグアナミン変性フェノール系樹脂の添加によって難燃性を一層向上できた.また,多官能のエポキシ樹脂との併用で,難燃性を保持しながらガラス転移温度や弾性率を向上できた.このエポキシ樹脂組成物を集積回路(IC)用モールド材やプリント配線基板(ガラスエポキシ積層板)に利用した場合,従来のハロゲン系難燃剤無添加での高度な難燃性と,耐湿性やハンダ耐熱性などの他の優れた実用性を実現できることを明らかにした.

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© 2007 公益社団法人 高分子学会
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