高分子論文集
Online ISSN : 1881-5685
Print ISSN : 0386-2186
ISSN-L : 0386-2186
一般論文
Poly(1-oxotrimethylene)の金属塩水溶液への溶解性,およびその溶液を用いたゲル紡糸におけるゲル化メカニズムと繊維構造
森田 徹加藤 仁一郎
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 64 巻 4 号 p. 261-267

詳細
抄録

Poly(1-oxotrimethylene)(ECO)は,ZnCl2 などのハロゲン化金属塩水溶液に溶解する.金属陽イオンが ECO のカルボニル基への配位することによって,ECO が溶解していると考えられるが,陽イオン種と ECO の溶解性に対する規則性は明確ではなかった.しかし,陰イオンに対しては Cl-, Br-, I- の順に ECO を溶解可能な金属塩水溶液の種類が多くなる傾向が見られた.ZnCl2 に CaCl2 などの他の金属塩を混合すると,その ECO 溶液は相分離温度を持ち,相分離温度以下では ECO の結晶化によりゲル状に固化した.この現象を利用して,相分離温度より低い温度の凝固浴で湿式紡糸を行うと,繊維は凝固浴中でゲル化するために断面構造が均一となり,超延伸することで高強度の ECO 繊維が得られた.また,ECO 溶液の相分離温度が高い方がゲル化の速度が速く,ECO 繊維の強度がより高くなる傾向であった.

著者関連情報
© 2007 公益社団法人 高分子学会
前の記事
feedback
Top