高分子論文集
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一般論文
マンガンポルフィリン/化学修飾ヘモグロビン複合体の構築とその抗酸化作用
村田 英則伊藤 裕二新保 智幸小柳津 研一湯浅 真
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2008 年 65 巻 4 号 p. 277-282

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抄録

ヘモグロビンのアポタンパク質を薬物担体とする新規抗酸化剤として,高分子化再構成ヘモグロビン(Cross-link PEGrHb)を合成した.抗酸化作用を有するマンガン 5,10,15,20-テトラキス(N-メチルピリジニウム-2-イル)ポルフィリン(MnT2MePyP)は低分子量体であるため体外に排出されやすい.このためヘモグロビンからグロビン鎖を抽出し,MnT2MePyPを導入することで得た再構成ヘモグロビン(rHb)に,ポリエチレングリコール(PEG)の修飾および架橋により,高分子化した.GPCおよびSDS-PAGEより,分子量増加およびPEG修飾を確認した.また抗酸化剤としての性質を,ストップトフロー法および過酸化水素耐性試験により評価した.Cross-link PEGrHbはMnT2MePyP単体と同程度の抗酸化能を有しており抗酸化剤として期待できることがわかった.またマウスにおいて125Iを用いて標識したCross-link PEGrHbの体内動態分布試験を行った.抗酸化剤としての特性評価としては,パラコート障害マウスを用いた実験を行った.Cross-link PEGrHb投与群では,コントロール群に比べ生存率が向上した.合成したCross-link PEGrHbは血中内で安定に存在し,in vivoにおいて効果的にO2-・を消去する抗酸化剤としての可能性が示唆された.

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© 2008 公益社団法人 高分子学会
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