高分子論文集
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一般論文
カルボキシメチルセルロース系ポリウレタンヒドロゲルの熱的性質
大西 徹畠山 兵衛畠山 立子
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2008 年 65 巻 7 号 p. 477-482

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抄録

分子量の異なるカルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液を化学架橋して,ポリウレタン(PU)ヒドロゲルを調製した.示差走査熱量計(DSC)を用い,CMC 水溶液と CMC-PU ゲルの,相転移温度および転移エンタルピーを測定した.CMC 水溶液と CMC-PU ゲルともに DSC 昇温曲線には,ガラス転移に基づくベースラインの変移と,凍結可能束縛水および自由水の融解に基づく二つの吸熱ピークが観測された.CMC-PU ゲルのガラス転移温度(Tg)は,架橋によって分子運動が阻害されるため,CMC 水溶液の Tg より高温に観測された.融解のエンタルピーおよび全水分量から,不凍水,凍結可能束縛水および自由水の 3 種類の水の絶対量を計算した.CMC-PU ゲルの不凍水量は,架橋度の増加とともに,減少した.架橋反応によりヒドロキシル基が減少するため,吸着サイトの減少によるためと考えられる.

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© 2008 公益社団法人 高分子学会
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