高分子論文集
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総合論文
芳香族ポリエステルの構造—物性相関
笹沼 裕二鈴木 宣暁
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67 巻 (2010) 1 号 p. 1-9

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抄録

芳香族ポリエステル poly(ethylene terephthalate) (PET), poly(ethylene-2,6-naphthalate) (PEN), poly(trimethylene terephthalate) (PTT)のコンホメーション解析を,モデル化合物,ethylene glycol dibenzoate (EGDB)と trimethylene glycol dibenzoate (TMGDB)の分子軌道法(MO)計算とポリマーの高精度回転異性状態(RIS)法の計算を組合せて行った.両モデル化合物の MO 計算は,1H, 13C NMR 実験で求めた O-CH2 と CH2-CH2 結合の配座分率と電気複屈折測定で得られた分子 Kerr 定数と双極子モーメントの実験値を再現した.EGDB は C=O…H-C と C-O…H-C の引力的相互作用,静電相互作用,双極子-双極子相互作用を形成する.TMGDB ではさらに,中心の CH2-CH2-CH2 結合が続けて g+g- コンホメーションをとるときに π-π 相互作用が芳香族環の間に働き,このコンホメーションをもつ屈曲した状態を著しく安定化する.これらの屈曲したコンホマーが TMGDB や PTT 特有の芳香族環の二量化による蛍光発光の源と考えられる.PET の高精度 RIS 法計算が与えた特性比は,融液の中性子散乱の実験値と一致した. RIS 法で求めた熱力学量から芳香族ポリエステルの融解・結晶化の特徴を考察した.

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© 2010 公益社団法人 高分子学会
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