高分子論文集
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一般論文
ポリメタクリル酸メチルの分子ダイナミクスと空間分布相関
竹村 和浩古屋 秀峰
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2010 年 67 巻 1 号 p. 39-44

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抄録

アモルファス状態のポリメタクリル酸メチル(PMMA)について,分子動力学(MD)シミュレーションを行った.ガラス状態の分子運動を特徴付ける動的不均一性にかかわる物理量,non-Gaussian parameter A を評価した.得られた non-Gaussian parameter A は中性子散乱測定の実測値と定性的によく一致した.PMMA 構成原子の平均二乗変位を求め,その値により運動性を分類したグループどうしの二体相関関数を解析した.運動性の同じ原子どうしが空間的に集まることがわかった.また,分子集合体中の空隙を解析した結果,ガラス転移温度(Tg)以上と以下において空隙の分布が異なり,Tg 以下では比較的大きな空隙が残存することがわかった.また,構成原子と空隙の二体相関関数を解析することにより,運動性が高い原子の周辺ほど空隙が多く存在することが明らかになった.

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© 2010 公益社団法人 高分子学会
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