2010 年 67 巻 3 号 p. 187-191
燃料電池の高温低加湿作動の実現には低湿度での電解質膜のプロトン伝導性と水透過性の向上が求められている.そのためには高酸基密度化が有効であるが,単純な酸基密度の増加では耐水性の低下を招く.水透過性と耐水性という背反する性質を同時に併せ持つ電解質膜を設計するためには,さまざまな分子構造に関する物性予測が可能な計算機シミュレーションの活用が有効である.本研究では粗視化モデルを用いたシミュレーション手法(散逸粒子動力学法)を用いて高分子電解質膜の吸水膨潤挙動および,電解質膜中での水拡散係数の計算を行った.