高分子論文集
Online ISSN : 1881-5685
Print ISSN : 0386-2186
ISSN-L : 0386-2186
一般論文
ヘテロポリ酸によるビニルエーテルの不均一リビングカチオン重合
松尾 陽祐金岡 鐘局青島 貞人
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 68 巻 4 号 p. 176-181

詳細
抄録

添加塩基存在下,Keggin 構造をもつヘテロポリ酸を用いてイソブチルビニルエーテルの不均一カチオン重合を検討した.H3PW12O40 を用いた場合,従来のリビングカチオン重合の条件下では副反応が起こり重合反応を制御できなかったが,酢酸エチル中,ジメチルスルフィド存在下,−30℃ で重合を行うとリビング重合が進行するようになり,分子量分布の非常にせまい(Mw/Mn<1.1)ポリマーが得られた.生成ポリマーの分子量は,H3PW12O40 のすべてのプロトンから重合反応が開始したと仮定した場合の計算値によく一致し,重合率に比例して増加した.また,MALDI-TOF-MS の結果からは,生成ポリマーがプロトンによる開始,メタノール(停止剤)による停止に由来する構造のみを有することがわかった.さらに,Keggin 型の異なるヘテロポリ酸(H4SiW12O40, H3PMo12O40, H4SiMo12O40)によっても制御された重合が進行した.

著者関連情報
© 2011 公益社団法人 高分子学会
前の記事 次の記事
feedback
Top