高分子論文集
Online ISSN : 1881-5685
Print ISSN : 0386-2186
ISSN-L : 0386-2186
一般論文
ポリエチレンの熱分解と分子量変化が及ぼす燃焼性
中島 江梨香伊藤 雅俊上野 智永市野 良一武田 邦彦
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 69 巻 11 号 p. 631-638

詳細
抄録

高分子材料はこれまで本来的に可燃性であるとされてきた為,5%から60%程度添加剤を加え難燃性をもたせてきた.本報では,ポリエチレン(PE)の高分子のマトリックス構造の変化における燃焼性を解析した.重量平均分子量76,000以上のPEは一次的な分解で溶融し,下に落下していく間に二次的な分解が起こり燃焼していると考えられる.一方,重量平均分子量35,000のPEは着火することなく溶融し,下に落下し続けた.したがって,本実験方法において重量平均分子量が35,000のPEは着火もせず燃焼が継続しないことが明らかになった.しかし,分子量の違いによる重量減少挙動に違いは見られず,また,TGによって同様に熱履歴を与えた後の試料の分子量分布は,同熱分解率では同分子量にピークが計測された.分子量が異なる場合でも,PEはランダムに分解し,分解生成物の構造は類似のものであると推定された.

著者関連情報
© 2012 公益社団法人 高分子学会
前の記事 次の記事
feedback
Top