高分子論文集
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一般論文
固定化ホモサレン配位子の合成とラセミラクチドの立体選択的重合反応への応用
野村 信嘉長谷川 潤岸田 央範
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2013 年 70 巻 12 号 p. 744-752

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抄録

再利用可能かつポリマーが着色しないラセミラクチドのイソタクチック選択的重合触媒配位子として,ホモサレン配位子を市販のMerrifield樹脂に固定化した.まず適当な保護基を有する1,3-ジアミノプロパン-2-オール誘導体を用い,樹脂とカップリング反応を行った後,脱保護後して置換基を有するサリチルアルデヒドと脱水縮合により,固定化ホモサレン配位子を合成した.合成した固定化配位子をトリエチルアルミニウムと反応させ,触媒を調製した.過剰のトリエチルアルミニウムは,触媒調製の溶液部分を取り除くことにより容易に除去できた.こうして調製した固定化触媒を用い,アルミニウムに対して1当量のベンジルアルコール存在下,50当量のラセミラクチドと反応させたところ,イソタクチックポリマーが得られた.重合混合物にメタノールを含むトルエンを加えてろ過すると,配位子と粗生成物を分離することができた.ろ液には生成したポリマーと未反応のモノマーのみ含まれていた.回収した固定化高分子配位子は,再利用することが可能であった.

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© 2013 公益社団法人 高分子学会
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