高分子論文集
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一般論文
スルホン化シンジオタクチックポリスチレン電解質膜の電気化学的性質
松本 英俊高橋 洋暁鴻巣 裕一斉藤 敬一郎皆川 美江谷岡 明彦
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2013 年 70 巻 3 号 p. 102-107

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抄録

結晶性高分子であるシンジオタクチックポリスチレン(sPS)をスルホン化した後にキャストを行うことによって,炭化水素系電解質膜を作製した.作製した膜は結晶構造を維持しており,柔軟で取り扱いも容易であった.スルホン化時の硫酸添加量およびスルホン化時間の増加に伴って,イオン交換容量および含水率は増加した.膜抵抗は最も低いもので9.2 Ω · cmを示し,市販フッ素系電解質膜であるNafion117(10 Ω · cm)よりも低い値が得られた.この膜のイオン交換容量(2.2 mmol/g-dry memb.)と含水率(67%)はともにNafion117の2倍以上の値を示した.膜の含水率低減のために,加圧熱処理を検討したところ,含水率を低減させることはできたが膜抵抗が増加した.また,フェントン試験からsPSの結晶部が耐酸化劣化性の向上にも寄与することが示唆された.

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© 2013 公益社団法人 高分子学会
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