結晶性高分子であるシンジオタクチックポリスチレン(
sPS)をスルホン化した後にキャストを行うことによって,炭化水素系電解質膜を作製した.作製した膜は結晶構造を維持しており,柔軟で取り扱いも容易であった.スルホン化時の硫酸添加量およびスルホン化時間の増加に伴って,イオン交換容量および含水率は増加した.膜抵抗は最も低いもので9.2 Ω · cmを示し,市販フッ素系電解質膜であるNafion117(10 Ω · cm)よりも低い値が得られた.この膜のイオン交換容量(2.2 mmol/g-dry memb.)と含水率(67%)はともにNafion117の2倍以上の値を示した.膜の含水率低減のために,加圧熱処理を検討したところ,含水率を低減させることはできたが膜抵抗が増加した.また,フェントン試験から
sPSの結晶部が耐酸化劣化性の向上にも寄与することが示唆された.
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