高分子論文集
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一般論文
異なるシロキサン鎖長を有する脂環式テトラカルボン酸二無水物の合成とポリイミドの特性
菊地 宣
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2013 年 70 巻 4 号 p. 151-160

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抄録

5-ノルボルネン-endoおよびexo-2,3-ジカルボン酸無水物と,ケイ素数が2から5の両末端ヒドロシリル型オリゴジメチルシロキサンとのヒドロシリル化反応によって,シロキサン鎖長の異なる脂環式テトラカルボン酸二無水物を合成した.endo-テトラカルボン酸二無水物はいずれも固体であるのに対して,exo-テトラカルボン酸二無水物はいずれも液体であった.これらテトラカルボン酸二無水物と4,4′-オキシジアニリンから合成したポリイミドの分子量を比べると,exo-ポリイミドの方が大きな分子量となった.熱特性は,いずれのポリイミドもシロキサン鎖が長くなるに従ってガラス転移温度は低下したが,5%重量減少温度はケイ素数に依存せず一定の値を示した.endo-ポリイミドはフィルム作成時にクラックを生じ,フィルムを得ることができなかったが,フィルムを得ることができたexo-ポリイミドの機械特性は,鎖長が長くなるに従って弾性率および引張強さが低下し,逆に伸びが増大した.ポリイミドの合成と特性における差異は,テトラカルボン酸二無水物の構造の違いを反映したものと考える.

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© 2013 公益社団法人 高分子学会
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