高分子論文集
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原著論文
生分解性脂肪族ポリエステルフィルムの劣化に及ぼすホタテ貝殻由来のカルシウム化合物微粉末の添加効果
川﨑 杏子吉田 駿介何 海燕鹿志村 晃太刈込 道徳木村 隆夫丸尾 茂明
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2016 年 73 巻 1 号 p. 87-95

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抄録

カルシウム化合物微粉末が生分解性プラスチックフィルムの分解挙動に及ぼす影響を調査することを目的として,カルシウム化合物微粉末を添加したプラスチック母材の加熱混練,続くホットプレス成形により,数種類の生分解性複合フィルムを調製した.ポリ乳酸,ポリブチレンサクシネートアジペートおよびポリ(ブチレンサクシネート-co-乳酸)の3種類の市販の生分解脂肪族ポリエステルを母材として選定した.ホタテ貝殻由来の2種類のカルシウム化合物微粉末を改質材として使用した.得られたフィルムについて,90日間の加水分解試験および360日間の土壌埋設試験を実施した.これらフィルムの重量,媒体の全有機炭素含有量やpH,さらに走査型電子顕微鏡によるフィルム表面形態の経日変化を追跡し,生分解性を評価した.改質材として酸化カルシウム微粉末を添加したとき,市販の生分解脂肪族ポリエステルの分解速度が著しく加速し,媒体に使用した土壌の酸性化の抑制に寄与することがわかった.

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© 2016 公益社団法人 高分子学会
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