高分子論文集
Online ISSN : 1881-5685
Print ISSN : 0386-2186
ISSN-L : 0386-2186
原著論文
フェノチアジン系ポリマーを用いた有機–無機ハイブリッド発光材料の合成とその性質
今本 翔也香西 博明
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 73 巻 4 号 p. 377-383

詳細
抄録

本報では,π共役系高分子の安定性向上を目的として,側鎖にアルキル基を有したフェノチアジン類のポリマーを合成し,末端を極性官能基でキャップすることでシリカとの複合化による有機–無機ハイブリッド発光材料の調製を行った.その結果,ポリマーの重量平均分子量(Mw)は4000~5700であり,クロロホルムやTHFに対して溶解性を示した.熱重量測定(TG)の結果,ポリマーの10%熱重量損失温度は280°C以上の値を示し,良好な熱安定性を示した.蛍光スペクトル(PL)測定では,THF溶液では490 nm,520 nmに発光ピークが見られ,水色~黄色の発光を確認でき,フィルムでも同様の発光性を有していた.また,ポリマー同様の発光特性を有しており,フィルムにおいて480~510 nmにピークが見られ,水色~黄色の発光が観察できた.得られた有機–無機ハイブリッド発光材料は光や熱に対する優れた安定性を示した.

著者関連情報
© 2016 公益社団法人 高分子学会
前の記事 次の記事
feedback
Top