2016 年 73 巻 4 号 p. 370-376
ポリプロピレン/炭酸カルシウム複合材料に関して,界面の接着と炭酸カルシウムの粒子径が疲労特性に及ぼす影響を検討した.界面を接着させる相容化剤として,無水マレイン酸変性ポリプロピレンを用いた.界面の接着は,疲労寿命を大幅に向上させた.界面の接着が,界面剥離による内部破壊の発生を抑制させたためと考えられる.一方,小粒子径のフィラーを用いた複合材料は,大粒子径のフィラーを用いた複合材料よりも高い疲労寿命を有していた.S-N線図の最大応力を降伏応力にて正規化して,疲労破壊の挙動を比較した.粒子径20 µmおよび0.9 µmの炭酸カルシウムを用いた場合,疲労破壊の挙動は,界面接着の有無に依存しなかった.しかしながら,粒子径6 µmおよび3 µmの炭酸カルシウムを用いた場合,疲労破壊の挙動は,界面接着の有無に依存した.