高分子論文集
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総合論文
ホスホン酸部位を有する自己ドープ型導電性ポリアニリンの開発
雨夜 徹平尾 俊一
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2017 年 74 巻 6 号 p. 473-481

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抄録

本報では,筆者らがこれまで開発してきたホスホン酸部位が主鎖に直接結合した自己ドープ型導電性ポリアニリンについて,その合成および特性などを概説する.2-Methoxyaniline-5-phosphonic acidを酸化重合することによりホスホン酸が主鎖に直接結合したポリアニリンであるpoly(2-methoxyaniline-5-phosphonic acid) (PMAP)を合成した.合成スキームを改良することで,スケールアップが可能になった.また,モノエステル体であるpoly(2-methoxyaniline-5-phosphonic acid monoethyl ester) (PMAPE)も合成した.吸収スペクトル,ESRスペクトルなどからPMAPおよびPMAPEの自己ドープが確認された.PMAPおよびPMAPEの導電率は,それぞれ1.9×10-1,1.0×10-2 S/cmであった.PMAPは通常の導電性ポリアニリンと異なり,塩基性条件下(約pH 10)においてポーラロンの非局在化が増すことが示唆された.さらに,長鎖アルキルアンモニウムと塩形成させることで有機溶媒に可溶な自己ドープ型導電性ポリアニリンを調製することが可能であった.電子線リソグラフィーにおける帯電防止剤としてPMAPが機能することも明らかにした.

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© 2017 公益社団法人 高分子学会
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