2018 年 75 巻 3 号 p. 275-279
シンジオタクチックポリメチルメタクリレート(st-PMMA)はトルエンなどの溶媒やit-PMMAと錯体結晶を形成するが,通常,単独では非晶となる.本研究では,st-PMMAに対し,テトラヒドロフランを溶媒とし,溶媒揮発時に形成する構造とガラス転移温度よりも十分に高温で加熱し液体状態としてから冷却することにより形成する非晶構造およびアルミナナノ粒子界面で形成する非晶構造を検討した.その結果,コンフォメーションの異なる二つの非晶構造(非晶I型,非晶II型)が存在し,アルミナナノ粒子界面では成膜時のコンフォメーションが保存される.また,この非晶II型は,溶融させることで非晶I型へと変化することがわかった.