2019 年 76 巻 1 号 p. 98-107
2-ビニロキシエチルグリシジルエーテル(VEGE)とN-フェニルマレイミド(NPMI)のAIBNによるラジカル共重合を60°C,ベンゼン中またはテトラヒドロフラン(THF)中で行い,ベンゼン中では数平均分子量12万~25万,THF中では数平均分子量6千程度のコポリマーをそれぞれ高収率で得た.また,AIBN非存在下での共重合は,ベンゼン中では,重合はわずかしか進行しなかったが,THF中では数平均分子量5千程度のコポリマーが高収率で得られた.1H NMRスペクトルによる解析により,生成ポリマーの構造は,VEGE単位とNPMI単位からなる共重合体であり,MALDI-TOF-MSスペクトルによる解析により,VEGE単位とNPMI単位が交互に配列したシークエンスに起因するピークがおもに観測され,NPMI仕込み量に応じてNPMI単位の連鎖も見いだされた.生成したコポリマーのガラス転位温度(Tg)は,共重合体組成に依存し,約100~200°Cであり,NPMI単位の組成が増すに従って著しく上昇した.熱分解温度(Td)は300°C以上であり,高い耐熱性を有することがわかった.コポリマー中の側鎖のエポキシ基と多官応性芳香族アミンとの硬化反応により,高いガラス転位温度を有する新規の耐熱性エポキシ硬化樹脂が得られた.