高分子論文集
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原著論文
マイクロ流動場における異種微粒子の分離に対するやわらかさの影響
大浦 舜渡邊 拓巳湊 遥香鈴木 大介
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2019 年 76 巻 3 号 p. 226-233

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抄録

血球のように,マイクロ流動場において二成分以上の微粒子を含む分散液は分離することが知られている.DDSなどの実現に向けて,人工微粒子を用いた分離挙動の評価が実施されてきたが,微粒子のやわらかさが与える影響の詳細は不明な点が多い.そこで本報では,やわらかさを制御可能なヒドロゲル微粒子を用い,マイクロ流動場における流動挙動を高速カメラを搭載した顕微鏡を用いて調査した.その結果,大きさが同程度の硬いポリスチレン微粒子と,多量のやわらかいヒドロゲル微粒子を混合した場合,やわらかいヒドロゲル微粒子が流路中央に集中し,ポリスチレン微粒子は壁面側へと分離することを確認した.さらに,わずかに架橋密度の高いヒドロゲル微粒子を用いると,分離の程度が著しく低下した.これらの結果は微粒子のやわらかさが流動位置の制御に重要であることを明確に示しており,得られた知見はDDSキャリアの設計などに活用できる可能性がある.

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© 2019 公益社団法人 高分子学会
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