抄録
回転ディスク電極は,回転速度を変化させることによって電極近傍に向かう物質輸送量を制御することができるため,酸化還元反応の機構解明や燃料電池の触媒評価などに利用されてきた.一方で,回転ディスク電極を材料合成の反応場として利用した例は,有機,無機問わず,数例しか報告されておらず,研究の拡充が必要である.そこで本研究では,回転ディスク電極を用いてアニリンの電解重合反応を行い,電極上に生成するポリアニリン膜の構造制御法の可能性について検証した.その結果,ポリアニリン膜は回転ディスク電極の回転速度の増加に伴い,表面構造が平滑化され,また,膜の緻密化が達成されることがわかった.このように回転ディスク電極は電解重合膜の構造制御を実施する上で,極めて有力なツールになることが実証された.