2019 年 75 巻 1 号 p. 191-199
平成30年7月豪雨では,長期・広範囲に渡って雨が降り,土石流が多発した.土石流により輸送される土砂は河川に流れ込むことで土砂洪水氾濫を引き起こし,被害をさらに拡大させた.現在の土砂災害警戒情報は,個々の斜面における雨量と地形・地盤情報が考慮されておらず,土石流発生率やその危険度評価には課題があると考えられる.本研究では豪雨時について,空間解像度の良いXRAINの雨量データと斜面崩壊場所の特徴を山地斜面ごとに調べた.特に,これまでの強い短期雨量が支配的であった過去の土石流災害と比較して,強い長期雨量が特徴的な今回の豪雨に対して,雨量指標R’の適用性について,流域の特徴や雨量の半減期を用いて議論した.